鉄道東日本・環境アクセス分会のたたかい→
鉄道東京地本書記長  石川英一


 

結成後仲間増やし力つける

 (株)東日本環境アクセスは、JR東日本から請負って駅舎やトイレ・車両の清掃、整備等が主な仕事です。「駅の空間を利用する」・「駅をきれいに」というJR東日本の施策で駅舎のリニュアル化がどんどん進み、トイレなども整備されてきているなか、お客さまにきれいな駅とトイレを使ってもらおうと駅の清掃などに力を入れています。

 その職場に、07年7月、建交労鉄道東京地本東日本環境アクセス分会が結成されました。当初新宿事業所に組合員19名で組織し、要求を実現するため仲間を増やそうとみんなで話し合い、職場で対話と交流をすすめてきました。今年5月の第2回分会大会が開かれるまでの10ヶ月の間に9名の仲間を拡大し、新宿以外上野などの事業所にも組合員が広がり増えています。

大量の人・ゴミ 厳しい仕事

 新宿事業所は社員、準社員、パートを含めて約170名で作業をし、一日の出面らは、一昼夜勤務・夜勤・日勤勤務を含め約70名くらいで新宿駅各ホーム、コンコースと中央線御茶ノ水駅から千駄ヶ谷駅の七駅と山手線新宿駅から恵比寿駅の五駅の駅ホーム、トイレ、ホームにある喫煙コーナーの清掃、折り返し電車の車内清掃と整備をしています。  また、一人で複数の駅を時間帯に合わせて受け持ち、時間に追われながら駅ゴミ箱、トイレ、ホーム喫煙コーナー等の清掃を行っています。 

 新宿駅構内の清掃は大変で駅構内が広いこと、利用される人が多いこと、ゴミ箱の数も半端ではありません、三点セットと呼ばれるゴミ箱があります、普通ゴミ、ペットボトル・カン、新聞・雑誌がセットになっています。特に大変なのは、チリ場の仕事です。駅で集められたゴミをここに持ってきての分別作業です。食い残しの弁当や飲み残しのペットボトル・コーヒー缶など(燃えるゴミ、燃えないゴミ)の分別、暑い時期など一段と強烈な臭いが体に染み付きます。ゴム手などつけての作業なんて出来ない状況です、チリ場には休憩するところはありませんが、スペースをつくって昼食をとることもあります。

 雨の日の床の水溜りの拭き掃除、雨が降ってやんだときのゴミ箱付近のビニール傘、雑誌の発行日は拾い屋とのトラブル、終電近くでは酔客の汚物(ゲロ)の処理を駅の社員から掃除の依頼を受けたり、ありえない話しと思うかもしれませんが、時にはホームでの排便の掃除まで依頼されます。掃除をしているときにチリトリがぶつかったとか、掃いたゴミがズボンについたとか利用客から苦情があった場合は当然駅側から注意があります。

 駅のゴミ集積場で集めてきたゴミの分別に時間がかかります。その間、またゴミ箱がいっぱいになる、次の駅での仕事もある、たまったゴミの分別・整理が終わったときはすでに最終電車に乗り遅れ、となりの駅の休憩室まで歩いて帰るときもあるそうです。

 折り返し車両の清掃はスピードが要求され、与えられた時間との勝負になります。座席の反転作業や座席の背もたれに一冊づつJR発行の雑誌を入れていく作業と散乱したビール缶・ペットボトル・弁当箱等の回収です。ゴミを入れるカートがとても重要になってきます。しかし、乗客はモラル・マナーなどまったく関係なし、「飛ぶ鳥後を汚す」でひどいものです。

次々と辞める 劣悪な労働条件

 職場では各ホームに掃除道具の保管場所がありません。点呼する場所から遠く、作業するまでに時間が掛かるため早目の出勤で、準備・用意をする。当然サービス超勤です。会社の言うことを聞かなければ時間給の他にもらえる手当が他の人たちより少なかったりと差別と執拗ないじめ、嫌がらせが会社の言いなりの人たちから受けると聞いています。

 作業ダイヤで休憩時間がきても休憩する詰所まで遠く、詰所までいけば休憩時間が終わってしまい体を休めることが出来ません。また、休憩時間でも駅側から清掃の要請があればやらなければいけません。頼まれれば休憩時間であろうが、なかろうが早くとせかされます。また、トイレ掃除にはゴム手袋が支給されていますがとても作業が出来るような代物ではなく素手でトイレ掃除をすることが多かったそうです。

 JR会社から請負った清掃の仕事、アクセス会社の利益を上げるため仕事量を増やし人を減らして利益を大幅に上げる、サービス労働があたり前、労働者が労働者を監視させる会社の施策、低賃金で「奴隷のように私たちは働かされている」との声が聞こえるのは事実です。このようなことで、会社は人を人とも思わない姿勢だからアクセス職場に10名が就職しても次の日には8名がやめるという劣悪な労働条件の職場になっているのです。

低賃金・不公正な不安定雇用

 雇用は、正社員、準社員、パート社員の3つの形でなされています。
 準社員の雇用契約は、3ヶ月から最大6ヶ月です。パート社員は、1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月です。年齢に関係ありません。なかでも3ヶ月雇用が大部分です。また、就職したての頃は1ヶ月間で仕事への意欲や態度等を見ながら契約期間を変更します、仕事に対する意見や反抗的な態度を見せれば1ヶ月契約・更新が続きます。

 所長の知人が就職すれば1ヶ月後には準社員として雇用されます。パートで何年も働いている労働者がいるのになんとも不思議・不公正な会社です。

 賃金は、準社員が日給月給制で一日約8500円(地域給を含む)、徹夜勤務は二日間になるので8500円×2日となり1ヶ月約10回の徹夜があり、その他手当がつくと給料は約18〜20万円位の手取りになります。
 パート社員の賃金は時間給です。1時間当り900〜1200円の幅があります。この幅は、所長の胸突き三寸で決まるそうです。

 アクセス社員で、所長の一言で、働く場所が変わり、働く時間と場所が違うだけで「約7万円も給料が下がった」という労働者がいます。また、新宿駅から他の駅への異動だけで最大で2万円も賃金が下がり「生活設計が成り立たない」と、悲鳴にも似た苦情が上がっています。
 公私混同が著しい所長の横暴を許さず、「同一労働・同一賃金」を要求して行きたいと思います。

JR組合員と関連労働者のつながり

 大企業JR東日本の関連企業に分会が出来るということは大きな意義があります。そして、アクセス分会の結成にいたるまでは様ざまな事がありました。全動労から建交労鉄道へ、新宿駅のアクセス職場になぜ建交労なのか?

 まず、土台作りがありました。昭和64年、地元北海道で不採用になり第2次募集で採用され、(当時は全動労)新宿分会の一員で新宿駅アクセス職場へ出向した組合員が、出向期限が終わった以降もそのままアクセス職場に残り、最悪な職場環境のなか、働きやすく、職場を良くしようと働いている人たちの相談相手になり、要求の解決を求め上司に話を進め職場で信頼を築いてきました。

 その組合員は単身赴任を13年間過ごし57歳の早期退職で北海道へ帰りましたが、この人がいる組合であれば信頼できると思うようになってきたのです。このときから、新宿分会とのつながりが出来てきました。

 建交労になってからもこのつながりが続き、建交労が提起している「春闘アンケートを軸にして」労働者との対話を重視した行動を積み重ねている折に、新宿分会は、アクセス労働者4人の「雇い止め」の相談を受けました。「65歳以上のパート労働者はもう雇わない」と一方的にこの4人の労働者に解雇を通告してきました。分会は建交労都本部や新宿区労連と連携し、会社と話し合いを進め、この雇い止めをやめさせ4人の解雇を撤回させることができました。このことが職場で話題として広がり、建交労(労働組合)に対する信頼が高まってきたのです。

労働者の権利について勉強

 そして、メーデーや大きな集会に参加を呼びかけ、職場の話しやボウリング大会、旅行、飲み会などで交流を深め、分会の執行委員会で毎回組織拡大の討議をしながら対象者を上げ、アクセス職場に組合員を増やそうと全分会員で意思統一を深めました。そろそろと言うことで「建交労ってなに」、「労働組合ってなに」と新宿分会員(元建交労委員長)の坂田さんを講師に向かえ「新入組合員教科書」での勉強会を開催しました。また、建交労で発行した「初級組合員テキスト」に基づいた学習、「環境アクセス会社の就業規則」、「国鉄闘争の現状」などのテーマで分会書記長が講師をつとめ学習会を開いてきました。

 そういう中、職場を見つめなおし、働きやすい職場をつくりたい、ものが言える職場にしたい、仲間を増やしたい、自らがその先頭になるということで建交労に加入し、新宿分会の分会員となりました。

 組合員拡大の教訓は、@展望を持って、組合員がふえれば要求は解決する、職場が変わるんだということをしっかり学習したこと、A執行部で討議し、拡大対象者を明確にする。役割分担を決め、役員だけで動くのではなく組合員全員で動く、組織全体の行動とすること、B交流を深め、つながりを強め、組合員全員の力を借りて組合加入を訴えることでした。

新宿分会からアクセス分会へ

 新宿分会のアクセス組合員から「労働時間が長い」「賃金が低い」「仕事がきつい」「サービス労働があり、手当がつかない」などの声が大きくなり何とかしたい、会社と話し合いを持ちたいという願いから、建交労鉄道東日本本部・鉄道東京地本・新宿分会が結成に向け会議を重ね意思統一を深めてきました。また、アクセスの組合員からも分会の結成をとの声が広がってきました。会社側の攻撃や切り崩しに負けないよう意思統一し、しっかりとした執行部、交渉体制をつくり労働組合への差別を許さない力を周りから作り出し、自らの要求解決を求め、明るく人間らしく働ける職場をつくろうと、2007年7月22日、環境アクセス分会を結成したのです。

 分会の執行体制は、JRを60歳で定年退職し再雇用制度を活用しアクセスに再就職した建交労組合員で当面の執行体制をつくり、分会機能を確立しました。

 その後に、休憩室にアクセス分会の組合掲示板が設置され、職場の現状を改善するために「こんなこと&あんなこと あなたの職場でありませんか」のチラシを掲示しながら周りの人たちに配布し、建交労パンフを置き、日ごと減ったパンフを補充し、統計を取りながら労働者に加入を訴えています。

 (株)東日本環境アクセスに別の労働組合があります。東日本環境アクセス労働組合(JR総連系)は社員のみの労働組合でありユニオンショップ制の組合でした。しかし、建交労アクセス分会が作業員である非正規労働者を組織すると、組合を立て直すとして会社側と一体となり準社員、パート社員も組合に加入させるためオープンショップ制に変更して、手当たり次第に威圧的に加入させ、同時に建交労組合員の切り崩し攻撃を始めてきました。私たちは、チラシや掲示板等を使いこの攻撃に反撃しています。このような中で分会には毎月のように仲間が加入を決意し、現在9事業所で組合員が仕事をしています。

要求を次々と実現

 分会を確立してすぐに、アクセス分会・東日本本部・東京地本の執行委員の4名体制で交渉委員を構成し、「アクセス分会結成のお知らせ」と「(申1号)基本協約締結に関する申し入れ」「(申2号)労働条件等に関する申し入れ」を行い交渉を進め、12月1日基本協約を締結しました。

 協約にもとずき、「(申3号)労働時間短縮の申し入れ」「(申4号)労働条件等改善の申し入れ」「(申5号)賃金引上げ等の申し入れ」「(申6号)労働条件、労働環境に関する緊急申し入れ」「(申7号)2008年度夏季一時金の支払いに関する申し入れ」など、立て続けに申し入れを行ってきました。

 その結果、本人の望んでいない日に年休を指定しない、年間休日を4日増とする(パートは除く)、業務の都合で休憩時間に作業が食い込んだ時間については超過勤務手当を支払う、年金手帳は本人に渡す・新宿駅チリ場の調査と東京臨海事業所の労働実態を調査すること、大地震発生時の従業員対応マニュアルは今後作成し従業員に渡す、など組合員の要求を勝ち取り、前進しています。

 新宿駅チリ場の要求はJR東日本本部と統一した要求で、JR東日本本社・アクセス本社と団体交渉を平行して行います。アクセス本社と交渉の結果、休憩時間もまともに取れないくらいひどかったチリ場で日勤者が1名つくようになり、要求が前進しました。

 他の事業所でも、「徹夜勤務なのに、寝室の布団、シーツの交換がいつされるのか、いつされたのかが分らないほどほおって置かれベットで寝ると、ダニに喰われ体中が痒くなるのでベットでは寝ずに休憩室で仮眠を取っている。衛生上よくないシーツは毎日の取替、布団は月に一度の取替など」を要求し解決しています。組合員が配属になった職場では環境改善がされるなど変化がおきています。

成果に確信持ち組合加入

 加入を決意した人の話しを聞いてみると、女性パート社員のMさん「たとえ1分でも作業時間を超えればお金を払うのは当然であり、それを無しにするのはおかしいでしょ」といっています、建交労はそのことを主張し「私が思っていることと同じだ」と言って加入を決意。男性準社員のTさんは「一人で声を上げても何回言っても解決しない、頭にくる、だから組合に入る」と決意しました。女性準社員のBさんは「他の人より仕事が雑だ、いい加減だ」と中傷され、職場でいじめにあっていました。相談にきた人の話しを親身になって聞き、アドバイスをする、労働者の悩み・要求は一人ひとり違いますが皆で考え知恵を出し団結すれば要求は解決することが出来ると確信を持つようになり、加入を決意しました。若い男性パート社員のCさん・Dさんは「最近入った人より賃金が低く、ぜんぜん賃金が上がらないし、仕事がきつくなってきた」など不満がたまっていました、若い組合員との交流もあったことで、自分の要求を解決したいと2名同時に加入を決意しました。

 春闘時に行っている「春闘要求アンケート」で職場の人たちと意識をもって対話をすすめ、交流とつながりを強め、拡大ビラと建交労パンフ等を使い、加入した組合員が周りの人たちに広めていき、この新組合員が拡大の糸口を大きく作り、組合員全員の力で拡大に結びつける運動が出来上がっています。

若者が執行委員に

 アクセス分会は鉄道東京地本で一番若い組合員がいるところです。目標と計画を立て、つながりを強めながらたくさんの若い人たちを加入させるために若者が持っている要求を集約し、職場仲間と対話し、交流を深め、分会を大きくし、明るく働きやすい職場を作って行きたいと思います。

 今年5月28日、アクセス分会第2回大会を開催しました。若い組合員が新たに執行部に入り体制を強化して学習会や組織拡大、国鉄闘争、働きやすい職場環境を作るために分会員全員の力で運動すすめていきます。

 

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