建交労鉄道本部が「20年の検証」を発表してから2年余が過ぎました。
この間3回のJR会社の決算が明らかになっていますので、最新の平成19年度(2007年)についての特徴点を見てみます。
資料として、「資料1・各社の特徴点」と「資料2・本州3社と3島会社と貨物会社に区分した対前年比決算」を参照してください。
一、JR7万人リストラ〜発足時4.1倍の経常利益
1.本州3社は、過去最大の利益や8期連続利益などとなっています。資料2にあるように、3社の経常利益の合計は6,004億円(単体)、これは、昭和62年度(1987年)
の3社計1,454億円の4.1倍にもなります。
最大の要因は、国鉄からJRとなる時点で、9万人以上の国鉄労働者が追い出され、発足後もJR従業員約20万人から約13万人以下までに減らされたことによる人件費の大幅減
があります。加えて、毎年春闘における賃金抑制、あくなき利潤追求の事業拡張などがあげられます。
2.一方で、3島会社は、営業利益で九州を除いて北海道・四国はマイナスです。
発足時に経営安定基金を設けてその運用益を投入して経営を維持してきました。
九州を含めて経営安定基金がなければ経常利益を確保できないのは資料2に より明らかです。
九州(連結)は、建設業・不動産業・流通外食業・その他の業が半分以上の 売上高を占める経営実態となっています。北海道の従業員数は発足時12,720人から7,700人と40%以上も削減、四国も4,455人から2,864人と35%以上も削減しての経営となっています。
3.貨物会社は営業収益1,558億円のうち166億円を線路使用料として旅客会社などに支払っての経営で、この間、所有地を売却したり、人件費を抑制しての経営が続いてきました。
輸送量は景気の変動にも左右され不安定な経営となっています。9年連続で賃上げなし、期末手当も40〜50万円もの格差が出ています。
二、事業拡張と2倍となった株主配当
1.JR各社は事業分野を拡張し続けています。東海会社は、東海道新幹線を柱とした経営実態から運輸業が80%(連結)の売上高ですが、東日本は52.7%、西日本66.8%、北海道52.7%、四国61.5%、九州48.4%と運輸業の売上高の比率が年々下がっています。
大都市の駅構内は連日数十万人が往来しており、その地の利を活用して、事業スペースを拡大し、そのうえ、ホテルや宅地造成など沿線開発も続けています。
2.本州3社は、1990年の株式上場以来(東日本1991年)1株50,000円に対して 5,000円(年)の配当をしてきました。2008年3月期の東日本を見ると2倍の10,000円(年)となっています。
例えば「みずほコーポレート銀行」は約10万株所有していますから、約10億円の配当を手にしているのです。
東日本の株式400万株は、金融機関が44.82%、外国法人が32.15%所有していますから、400億円(年)の配当を大銀行や外国法人などが労せずして分けどりしているのです。2008年3月期、東海は167億円、西日本は119億円の配当、3社で約686億円の配当となっています。単純に見ることは出来ませんが、3島会社の経営安定基金運用益の計(資料2)が497億円ですから、配当がいかに大きいかが示されています。
3、このように、3島会社が経営安定基金に依存した経営になっているのに対して、本州3社は労働者への賃金引き上げをしぶりながら、株主には大盤振るまいを躊躇なく進めています。分割・民営化の当然の帰結とはいえるものですが、公共交通としての全国鉄道網のあり方についての検討を必要とするのではないか
、と考えるのは短絡的でしょうか。
分割・民営化からすでに22年目となっていますが、大儲けの本社3社、地方格差の中で経営安定基金依存の経営、景気動向に左右される貨物会社の経営と安全輸送と環境に役立つ鉄道をどういう方向に導くかについて、1047名不当解雇問題の早期解決とあわせて労働組合としての役割発揮が求められています。
以 上