皆さん今晩は、日頃からの私どもへのご支援に心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。
本題に入る前に一言、中山国交大臣の「日教組をぶっ壊す」という発言についてです。これは国家的不当労働行為とも言うべき暴言であり国鉄闘争をたたかっている一人として、断じて許すことはできません。国務大臣・国会議員は、憲法尊重擁護の義務を負っていることは憲法上の規定です。大臣辞任で済まされる問題ではありません。総選挙などで引き続きその責任を追及していこうではありませんか。
では、本題に入りますが、どうすれば国鉄闘争の早期解決を図ることができるか。4者・4団体の基本方針に基づき、考えていることを述べて見たいと思います。
1.まず、相手である政府・鉄道運輸機構の言動を見れば、我々の闘争の到達点がよくわかるということであります。
@ここ数年、相手が一切口にしない、できない言葉があります。それは、“裁判を下ろしなさい”ということと、“まとまりなさい”という2つの言葉です。大事なことは、ここに我々の今日の闘争の到達点が反映されていることです。
なぜ、“裁判を下ろせ”といえなくなったのか、2005年9月15日の鉄建公団訴訟判決、2008年1月23日の全動労訴訟判決があるからです。どちらも鉄道運輸機構の不当労働行為を認定しました。下ろせばこの東京地裁判決が確定します。口が裂けても裁判を下ろせとはいえなくなったのです。「4党合意」当時とは、まったく違った状況が生まれているのです。
A「4党合意」は、JR不採用問題の打開についての合意文書として、2000年5月30日に公表されました。あの悪名高き「JRに法的責任なし」の一項が入った政治的合意の文書です。
それを国労に認めさせた後、JRに責任がない事を認めておきながら裁判をやっている、何事だ、裁判を下ろせとなったのです。しかし、そこには東京地裁・高裁でJR側が勝訴し、中労委命令が取り消されたという背景がありました。
今日の鉄建公団・全動労裁判での東京地裁判決は、当時とは逆転しています。我々原告勝訴、鉄道運輸機構=被告敗訴です。もちろん不十分な判決ですが、ここに裁判闘争の到達点があることを、確信としなければならないのです。もうひとつは、4者・4団体は統一して対応することを書面で確認し、ILOを含め国内外に発信してきました。もちろん政府・鉄道運輸機構にも通告していますから、まとまらなければ対応できないとはいえなくなったのです。1047名当事者は要求でも、裁判闘争でも足並みが揃いました。たたかう主体的条件の確立です。
2.こうした新たな局面の下での闘争の展開です。
@この2つの到達点に立って、南裁判長の提案、冬柴国交大臣の見解を見れば、解決への新たな局面が開かれてきたことがわかります。
これまで政府・鉄道運輸機構は、解決には法的・政治的根拠が必要だ、「4党合意」にかわる政治的枠組みをどうつくるかだといってきました。「4党合意」は、JRに法的責任なしの一項を入れることによって法的根拠としました。自民、公明、保守、社民の与野党4党の合意が成った、それを政治的根拠としました。建交労はこれに反対し、国労内も混乱しました。こうして2002年12月6日、「4党合意」は破綻をしたのです。
最高裁判決(2003年12月22日)を前後して、鉄道運輸機構を被告とする訴訟が相次ぎました。その後、我々は政府・鉄道運輸機構への申入れの中で、何が法的・政治的根拠になるのかを確認してきました。彼らは、司法判断は法的根拠になると言明しました。それは判決か裁判所の関与ということです。国交省の動向も重要だということでした。南裁判長の提案は、司法機関からの公式の提案です。冬柴国交大臣の見解は、大臣としての立場からの政治的見解です。これらが法的・政治的根拠になることは誰も否定することはできません。現に中山大臣と違って、冬柴大臣の見解が政府関係者・政党で問題になっているという声は聞こえてきません。
Aこうした局面では、政治解決を公然と打ち出し、政府・鉄道運輸機構に決断を迫ることが重要です。
そのためには、裁判闘争の強化と政治解決を迫る世論の結集―二正面作戦として構えることです。和解まちにならないように裁判闘争を構えること。全野党・与党・国会対策、大衆行動で政治決断を迫ることです。行動配置では、当面する裁判日程にあわせた裁判所、鉄道運輸機構、国交省への要請行動、ハガキ、集会決議などによる鉄道運輸機構、国交省への要請、政治解決を求める決起集会などの全国各地での開催です。
10.24中央大集会は解決への一大決起の場です。全労連はこの集会の成功とともに、鉄道運輸機構への1万枚のハガキ要請行動を先日の幹事会で確認決定しています。大変心強く思います。
B裁判所を介しての話し合いで注意しなければならない問題は、裁判所の関与と政治的合意との関連を正しくとらえることです。
裁判所を介しての話し合いでは被告代理人の主張する土俵には乗らないことです。雇用・年金にかかわる訴訟請求は、第一審判決では切り捨てられているため被告のいう第一審判決が基準となれば、解決金のみとなること。判決をとるという構えがなければ解決水準を引き上げることはできないこと。南裁判長提案と冬柴国交大臣見解は政治的合意への法的・政治的根拠となるものであり、政治的合意に基づく裁判上の和解によって、政府・鉄道運輸機構も大義名分が立つことです。このことは相手側も否定していません。
第一審判決にある不当労働行為、仮執行の扱いは、当該原告と被告の関係になりますから他の者が勝手に決めることはできません。政治的合意だけでは解決しません。裁判上の和解とあわせて解決を図る以外に方法はありません。
3.今後、考えられる事態への対応です。
@解決交渉が決裂した場合も南裁判長提案、冬柴国交大臣見解を踏まえた闘争が基本になります。なぜなら、これは公的性格を持っているからです。
建交労が鉄道運輸機構とたたかうのは、二度目です。ここで、トンネルじん肺闘争の事例を紹介しておきます。仙台地裁で争われた青函トンネルにかかわる事件です。1997年7月、裁判長は被告(鉄建公団=現鉄道運輸機構)に和解の意思をたずねました。被告は「主張すべきは主張し、立証すべきは立証したい」とし、和解する意思はないと表明しました。それならば、と、こちらも判決をとる構えで対応しました。同時に、鉄建公団の全国12ヵ所の事業所に向けての一斉要請行動、署名を10万、50万、100万と積み上げました。1999年3月、裁判長が和解勧告を出しました。ついに鉄建公団は和解のテーブルにつくことになりました。4月から仙台地裁で協議が始まり順調に進んでいました。ところが大詰めを迎えた6月、鉄建公団は突然、勧告から大幅に後退した見解なるものを出してきました。これによって協議は決裂状態になりましたが、ただちに公団本社に抗議行動を起こす中で、7月、裁判長の提案に沿った和解が成立したのです。
こうした事例から見ても、今後の裁判所の対応について考えられることはいくつかあります。裁判所が和解に対する見解を出す。審理を終えるにあたり和解勧告をする。裁判所が和解案を出して双方に受けるかどうかを迫る。結審時、判決言い渡し時に解決に向けて努力してもらいたいと発言するなど。南裁判長提案は一過性のものではありません。
A裁判所を介しての解決(金銭)と政治交渉での解決(雇用)の同時解決→裁判
上の和解という流れになりますが、路頭に迷わせない解決という場合、3つの要求(雇用・年金・解決金)を基本にした同時解決か、被告のいう低い水準での闘争の幕引き収拾かが、問われることになります。
4者・4団体・4弁護団の確認である「4党合意」の二の舞いはしない。文字通り1047名当事者の要求と意思に基づく解決、誰に対しても白紙委任はしない。このことを肝に銘じてたたかうことを申し上げ報告とさせていただきます。今後ともご支援よろしくお願いいたします。
(2008年9月30日 渋谷勤労福祉会館)
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