1. 全国鉄道本部・全動労争議団のJR不採用問題解決への姿勢
6月23日の4者・4団体会議で国労・国鉄闘争共闘会議は、懸案の雇用問題が残されているにもかかわらずJR不採用問題の闘争終結を表明した。これに対して建交労は、雇用ゼロでの闘争終結を受け入れることはできないと、闘争継続を主張した。意見は一致せず、4者・4団体は6月30日をもって解散することになった。この間の経緯とこれからの対応について明らかにしておく。
(1)
4者・4団体会議(6月23日)での態度表明
◎国労・国鉄闘争共闘会議は闘争終結
◎建交労全国鉄道本部・全動労争議団は闘争継続
<国労・国鉄闘争共闘会議の報告―JRに雇用は求めない>
●4者・4団体会議(6月23日)―国労・国鉄闘争共闘会議側から、つぎのような報告(要旨)があった。6月22日に4党の担当者に呼ばれたとして、「政府からの雇用はゼロという回答を受け入れたい。4者・4団体として一定の金額(解決金)は取った。これ以上『雇用問題』をのばすことは当事者のためにならない。4者・4団体としては、雇用ゼロもやむを得ないと判断したい。今後JRに雇用は求めない。4者・4団体は解散したい。」
*6月15日に開催されたJR採用差別事件・雇用対策報告集会での二瓶国鉄闘争共闘会議議長の報告―「私と高橋委員長(国労)が政治の窓口ですから全精力をつぎ込んで、どうしても雇用を取るということをお誓い申し上げて私の経過報告に代えたい。」
●国労中央執行委員会(6月30日)―同日に開催した国労闘争団全国連絡会議代表者会議の意思決定を踏まえたうえで、昨年4月9日の民主党、社民党、国民新党、公明党の4党と政府との「政治的合意」にもとづく雇用問題の解決についてその終結をはかることを確認した。JR不採用問題は24年の時を経てここに終結に至ったことを確認する。(2011年7月23日『国鉄新聞』)
*7月28、29日に開催する定期全国大会に闘争終結を提案し決定する。
●国鉄闘争共闘会議・訴訟原告団声明(6月30日)―原告らの平均年齢は58歳となっており、1047名の中で鬼籍に入った者はすでに69名(2011年6月30日現在)となっている。かかる事態の中で、原告団は苦渋の選択ではあるが、「雇用実現」を目指し、金銭問題が解決した後のこの一年間、精一杯あらゆる努力を尽くし政治の場で交渉を重ねてきた結果を重く受け止め、これ以上「雇用問題」を引きずることは、いたずらに原告個々の今後の人生を翻弄する事につながると判断し闘いの幕を閉じることを6月24日の原告団総会で決断したものである。
<建交労は闘争の継続を表明―政府・JRの雇用責任を問う>
●4者・4団体会議で建交労は、雇用ゼロでの闘争終結という報告に対して、つぎのように態度表明をした。「ハイわかりましたとはならない。JRの社会的責任、道義的責任を追及していかなければならないと考えている。全動労争議団としてはあらゆる努力をしていく。引き続いて政府・JRの雇用責任を問う。今日の確認としては、@未解決の雇用問題については、今後4者・4団体の各構成団体としての対応とする。A4者・4団体は6月30日をもって解散する。」
●6月13日に公表されたJR7社の「JR不採用問題に関する基本的考え方」に対して、全動労争議団は下記のコメントを発表(6月14日)している。
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政府・JRへの雇用問題解決にあたっての要請
6月13日、JR
7社の『JR不採用問題に関する基本的考え方』なる文書が公表された。その結論は、最高裁判決によってJRへの雇用問題は解決済みというものである。
しかし、2010年4月9日の4党と政府の解決案にも示されているように、最高裁判決で不採用問題のすべてが終結したわけではない。JR各社は、6月13日の国土交通省の雇用要請(『雇用希望者最終報告書』)を真摯に受け止め、早期に解決を図るべきである。同時に政府には、JRへの雇用に最後まで責任をもって対処することが求められているのである。
この間の経緯をみれば明らかなように、JR7社は国鉄『分割・民営化』以降も国を挙げての手厚い経営支援を受けている。政府は『JR不採用訴訟等の損害賠償の支払いに備えられるために積み立てて』ある鉄道・運輸機構の利益剰余金を、JR三島・貨物の経営基盤の強化などの財源としてだけでなく、雇用問題を含めて検討すべきである。今重要なことは、残されている雇用問題の解決である。このことを重ねて政府・JR各社に強く要請するものである。
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◇マスコミ報道―国労系闘争終結:全動労争議団闘争継続◇
※国労組合員 JRと雇用交渉断念 (2011年6月25日付『北海道新聞』)
高齢化で「苦渋の選択」―政府がJR各社へ雇用協力を求めたが、JRが拒否したため、これ以上の闘争は困難と判断。全動労争議団(58人)は今後も闘争を継続する方針。
※JR復帰 国労系断念 (2011年6月25日付『毎日新聞』)
不採用闘争、終結へ―「政府・与党に解決を棚上げされ、展望が開けない」と雇用要請の取り下げを決めたため。
※国労が雇用交渉 断念へ (2011年6月25日付『中日新聞』)
不採用問題24年の闘争終結―国労執行部は闘争の長期化や組合員の高齢化などから、闘争継続は困難と判断。定期大会では闘争終結と同時に、JRへの雇用を求めていた人は、断念することで組合員の資格も失うと確認する。
※レイバーネット日本 ― 6月24日、国鉄闘争共闘会議の総会が開かれた。「雇用ゼロ」で万事休す〜原告団・共闘会議は闘争終結・解散を決定!
これまで、二瓶執行部は「雇用・年金・解決金は3点セット。雇用がなければ闘いは終わらない」「雇用なければ路頭に迷い敗北だ」「闘いは道半ば。最後の決戦へ」「JR採用が闘いの根幹」と呼びかけてきただけに、この日の唐突な終結提案に、出席者から反発の声が上がった。
※雇用要請運動全動労は継続 (2011年7月2日付『北海道新聞』)
争議団は1日、札幌市内で役員会を開き、運動を継続する方針を決めた。役員会では、政府に対し、組合員の雇用確保に努力するとした昨年4月の合意事項の実行を引き続き求めるほか、JRに対しても職場復帰運動を続けることを決定した。
<4者・4団体はなぜ解散したのか>
●4者・4団体は―JR不採用問題の解決この一点で共同してきたのであり、「国
鉄改革」のすべてを視野に入れた共闘組織ではないこと。
・4者・4団体は「1047名問題」を解決するためだけに結成したのです。(GO! News2010.7) 注・ GO!
News―国鉄闘争共闘会議の機関誌
・4者・4団体が解散したのは国労・国鉄闘争共闘会議側がJRに雇用を求めないとして闘争を終結したためである。
※6月24日の鉄建公団訴訟原告団総会=解散総会で「事業体全国ネットワーク」を設置し、当面三年程度の受け皿としての機能をもたせ各事業の発展に結びつける。検証委員会については、二瓶議長と加藤晋介弁護士に検証委員をお願いし、事業体が適正に運営されているかを検証する。(GO!
News2011.6)⇒JRに雇用は求めない、闘争終結。闘争団・共闘会議解散。同時に事業体ネット・検証委員会の設置という構図になっているが、政府・JRへの雇用放棄との関係はどうなっているのか?
※現在の事業体に雇用を求めなければならない当事者も当然出てきます。このような状況を考慮し、現在の事業体を拡大し、どれだけ雇用が増加できるかが支援の基準になりますし、政治もその様に理解しています。(GO!
News2010.7)
⇒事業体で一番大事な問題は仕事の確保と単価の問題である。どこから仕事を確保するのか? なにを検証しどうするのか?
●「国鉄改革法」をめぐっては立場の違いがあること。
・国労は「国鉄改革法」を大会(1999年3月18日)で承認していること。
・今後、真の国鉄改革をめざす全労働者を視野に国民的視点に立った労働運動の本格的な構築が問われることになる。
(2) 最高裁における和解と「政治解決案」について
<政治解決にあたっての根拠の問題>
●政府は解決にあたっては根拠が必要だといってきた。政治解決とは、政党と
政府の政治的合意=「政治解決案」にもとづく解決方法であり、解決への政治的根拠となるものである。最高裁における和解は司法判断であり、同じく法的根拠となるものである。
・国策のもとでの解雇事件であり、政治の責任は政治が解決(政治解決)することが本筋である。
・「政治解決案」(和解金・団体加算金・雇用問題)は、4党と政府と4者・4団体の三者による確認であり、政治解決の基本となるものである。
●最高裁における和解と「政治解決案」の関連について、最高裁における和解
(2010年6月28日)は解決金(和解金・団体加算金)のみ。雇用問題については鉄道・運輸機構に対して、今後争わないとなっていること。「政治解決案」(2010年4月9日)
では、雇用問題は政府がJRに要請するとなっていること。
・最高裁における和解の当事者は、JR不採用問題の原告904名と被告鉄道・運輸機構である。JRは最高裁判決で法的責任なしとなっているため、和解の当事者にはなっていない。
・「政治解決案」では、和解金・団体加算金・雇用問題の完全実施をもっての政治解決を強く要請(雇用は政府がJRに要請)するとなっている。
<「政治解決案」は過去のものではない>
●「政治解決案」では、「政府はJRへの雇用について努力する。ただし、JRに
よる採用を強制することはできないことから、人数等が希望通り採用される
ことは保証できないこと」。さらに、雇用問題はJRだけではない、「その他の雇
用については政府としても努力する」となっていること。これを見てもわかる
ように、政府からの雇用ゼロという回答は本来ありえないことである―採用人
数はさておき…。にもかかわらず国労・国鉄闘争共闘会議側は、JRおよび政府
へ雇用を求めないと、これまでの態度を一変させたのである。
●国労・国鉄闘争共闘会議側がJRおよびJR関連への雇用を放棄したことから、雇用対象は全動労争議団14名となった。相次ぐ重大事故の問題、鉄道・運輸機構の利益剰余金の問題や国鉄の分割見直しという構造的な問題が国会で取り上げられていること。「JR不採用問題」を前面に、これらの問題を国鉄闘争の重要な課題として追求していく。
2. 全国鉄道本部定期大会(9月19、20日)に向けて
国鉄闘争の原点を踏まえるとともに、JR不採用問題の全面解決(雇用問題を含む)に向けて、具体的になにをするのかを提起しておく。いずれにしても4者・4団体当時の制約は一切なく、全労連国鉄闘争本部とも協議しながら機敏に対処し早期解決をめざす。
<国鉄闘争とJR不採用問題の位置づけについて>
●国鉄闘争とはなにかをあらためて明確にしておく。国鉄闘争とは「国鉄改革」=国鉄「分割・民営化」とのたたかいである。JR不採用問題(国家的不当労働行為)とのたたかいだけでなく、JR三島・貨物の経営問題、公共交通のネットワーク、安全・サービスの問題など様々な課題がある。国鉄闘争=JR不採用問題ではないこと。
・JR不採用問題とは、国鉄「分割・民営化」の際、JRに採用されず国鉄清算事業団を経て解雇された職員1047名のことである。国策のもとでの解雇=「国家的不当労働行為」とのたたかいである。
・最高裁でJRに不当労働行為の責任はない、責任は旧国鉄(現鉄道・運輸機構)にあるとの判決(2003年12月22日)が下されている。その後の東京地裁・高裁判決で、鉄道・運輸機構の不当労働行為が認定されている。
●政府・JRの姿勢は一貫している、未完の「国鉄改革」の完遂に全力を挙げる
こと、財源として鉄道・運輸機構の利益剰余金の活用をはかることなど。JR不採用問題が全面解決をした後も、労働運動再生と公共交通再生などの課題が残ることになる。
*JR北海道への申し入れ・要請行動他―6月22日、北海道鉄道本部は、JR北海道に対して「重大事故に関する申し入れ」を行っている。6月28日、北海道国鉄共闘会議・北海道労働組合総連合は、JR北海道に対して「重大事故の原因究明・再発防止対策の徹底とJR不採用問題の全面解決を求める緊急要請書」にもとづく申し入れ。JR札幌駅前での一の日行動の実施。JRの安全とサービス向上を求める「利用者アンケート」の実施(鉄道フォーラム愛知・7月)。
*全労連幹事会(6月24日)は、建交労から国鉄闘争の現状について報告を受け闘争の継続を確認している。
<当事者の意思による解決を基本に>
●闘争終結を決定する国労定期大会(7月28、29日)が重要な節目となる。「JR不採用問題」をこのまま終息させないため、「政治解決案」を基本に政府・JRの雇用責任を明確にするとともに、雇用確保の行動を配置する。
●そのためにJR北海道をはじめJR各社に対して、全動労争議団の意思による「全動労争議団雇用希望者報告書」を国労定期大会までに提出し団体交渉を申し入れる。なお、国土交通省へは「政治解決案」の履行について申し入れる。
●早期解決を図るためJR北海道などとの交渉状況を踏まえ、JR・政府・国会への緊急要請行動など必要な手立てを講ずる。
●JR不採用問題の解決に向けて、下記、厚生労働省記者クラブにおける記者会見で「声明」を発表する。
JR不採用問題の解決に向けての「声明」
―建交労・全国鉄道本部・全動労争議団―
記者会見の日時・場所
日時 7月25日・午後2時より
場所 厚生労働省記者クラブ

関連資料より
最高裁和解以降の国鉄闘争共闘会議議長らの言動から見えるもの
―GO!
NewsNO.113(2010.7)〜120(2011.6)―
◇その1―雇用が確保できなければ敗北
・第二の人生を歩むためには、皆さんが要望した「一人も路頭に迷わない解決」を成しとげなければならないと思います。自分は雇用に関係ない等の狭い気持ちが仮にあるとすれば、23年間の闘いの意義が半減するのではないですか。我が事のように、共に闘ってきた支援者になんと報告をするのでしょうか。(GO!
News2010.12)
・雇用が確保できなかったならば、当事者・家族は「路頭に迷う」し、「敗北」になるのではないでしょうか。(GO!
News2010.9)
◆二瓶久勝議長は「国は震災対応で手いっぱいという事情もあるのだろうが、これ以上先送りされると、組合員や家族が第二の人生を歩めない」と苦渋の選択を明かした
(前記・『毎日新聞』) ⇒これまでの言動からいえば、選択したのは敗北の路=「路頭に迷う」第二の人生ではないのか。
◆震災が起きる3カ月前にはなんといっていたか、「4者・4団体はこれまでに何回も『雇用を確保してこそ政治解決であり、路頭に迷わない解決である』と確認しています」(GO!
News2010.12) ⇒それこそ支援者・支援団体になんと報告をするのか、口を開けば雇用・雇用・雇用といってきた。
◇その2―JR採用なくして終結なし
・雇用問題の柱ともいうべきJR採用について、参院選後速やかに政府からJR各社を呼び、毅然として採用を働きかける事から始まる。JR採用なくして終結なし。(GO!
News2010.9)
・JRが採用を拒否するならば「政府の指導に従わぬJR」との大宣伝を展開し「錦の御旗」を背景にして集中した闘いを組んで行く事になる。(GO!
News2010.9)
・「雇用」はお題目ではなく、「政府からJRへの要請」という課題が、明らかに未履行の問題として残っていることを忘れてもらっては困る。この「政府からJRへの雇用要請」を一つの契機として、最後の雇用についての決戦の火ぶたが切られると考えてよい。(GO!
News2010.10・11月合併号)
◆名寄闘争団の佐久間誠さん「旗を降ろすのは無念だが、国による差別という道義的責任は歴史に残る」と話した
(前記・『毎日新聞』)⇒GO! Newsの誌面は「錦の御旗」一色。しかし、その旗は空にひるがえることはなかった。
◆政府がJR各社を呼び採用を要請したのは6月13日、JRはこれを拒否⇒しかし、決戦の火ぶたが切られるどころか10日後には敗北宣言。
◇その3―23年闘った弱者の意地、魂をみせてやる
・当事者、家族の皆さんは何のために23年間も闘いをしてきたのでしょうか? 当事者の皆さんは、当時、国労や全動労に所属していたというだけで解雇され、人間の尊厳までも奪われてきたからこそ、闘ってきたのではないですか。(GO!
News2010.12)
・今よく、聞かれることは、「雇用問題はどうなりますかね?」という事です。私はいつも以下のように答えています。―政府(四党)の約束ですから、実現します。そうでないと、4月9日の解決案を信用して、解決に踏み出した、当事者・家族をまた裏切ることになります。「JRが政府の要請にどう応えると思いますか?」―JR各社は、公共事業であり、政府の協力が必要です。それを拒否することは自滅を意味します。「それでも、万一、協力しなければ?」―当事者・家族は、すでに解雇されて、いわば怖いものはないのです。23年闘った弱者の意地、魂をみせてやるしかない―と。(GO!
News2010.12)
◆自らの言動に責任をもつこと。
自滅したのはどちらか⇒当事者・家族はなにを信じ、誰を信じて闘ってきたのか、意地の見せ場もなかった。
◆当事者・家族は、解雇されて、怖いものはないというが⇒闘争団員は雇用ゼロで路頭に放り出され、7月の国労大会では規約の改定により組合員籍までなくなるという。
◇その4―雇用問題が獲得できなかった原因
・昨年4月9日の解決案を、政府、政党が守るという姿勢に欠けていた。JR各社は国交大臣の要請にも一切耳を傾けようとはしなかった。(GO!
News 2011.6)
・4者・4団体の側にも問題があったのではないでしょうか。金銭を獲得してから、勝利だと勘違いし、雇用問題が解決しなければ「路頭に迷わない解決」ができないことをもっと認識すべきではなかったのでしょうか。(GO!
News 2011.6)
◆最高裁での和解後、雇用問題に総力を結集しなければならないときに一年もの間、本腰を入れた大衆行動も議員・政党などへの要請行動も配置してこなかったのでは⇒建交労・争議団の国会行動や集会への参加に、4党の先生方にお願いしているのになにをするのかと、抗議までしてきたのは誰でしたか。
◆建交労は全労連、地方労連、交運共闘などの諸行動、争議総行動へ積極的に参加し、雇用問題を訴えてきた⇒建交労はトンネルじん肺闘争と国鉄闘争を二大闘争として位置づけ解決局面を切り開いてきた。
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