JR7社の決算報告を読んで
      本州3社は当期利益合計〜約2,665億円
(2010年3月31日)
 鉄道本部特別執行委員 三浦隆雄


 
JRが発足して23年目(2010年3月31日)の「決算」が明らかになりました。その主な特徴点を見てみます。各数値については、 「資料1 2009年度決算各社の特徴点」と、「資料 2・本州3社と3島会社と貨物会社に区分した対前年度比決算」を参照してください。

 

一、前年度比、大幅な運輸収入の減少・減益

1.本州3社は、約2,665億円当期利益をあげていますが、前年度(2009年3月末)と比べると「東日本」は過去最大の減益となっています。資料2にあるように、本州3社の前年度比、営業収益2,402億円減、営業利益2,145億円減となっています。
その要因について、本州3社は、景気の低迷・千円高速道路・インフルエンザの影響などにより輸送量が減り、減収になったと説明しています。
本州3社の運輸収入は、前年度比約2,178億円減少しています。

運輸収入前年度比

 

在来線

 新幹線

 計

東日本

 -328億円  -353億円    -681億円

東 海

  -61億円  -905億円    -966億円

西日本

 -265億円  -266億円     -531億円
        -2,178億円 


また、千円高速道路の影響については、算定根拠は明らかでないですが、東日本
-90億円、東海-70億円、西日本-50億円としています。
しかし、本州3社は、人件費の141億円削減、物件費337億円削減などにより約2,665億円の当期利益を確保しています。
子会社を含む連結決算を見ると、3社の営業収益合計は、5兆2504億円で、JR単体の3社の営業収益合計、3兆8431億円の約1.36倍となっています。立地条件など圧倒的に有利な条件を活用して事業領域の拡大を進めています。


2.3島会社の決算報告は、連結決算の資料を中心に発表されてきており、単体の状況が不透明になってきています。営業収益は3社計で前年比約91億円減、営業利益は3社計約351億円の赤字となっています。
 発足時に経営安定基金を設けてその運用益を投入して経営を維持してきましたが、今期も計約434億円の運用益を充当して、かろうじて経常利益を3社計で約50億円となっています。

3島会社の決算

 

当期営業利益

 経営安定基金
運用益

 経常利益

 北海道      -249億円      242億円    2億円
 四 国     -78億円       79億円    0億円
 九 州       -24億円      113億円   48億円

     -351億円       434億円   50億円 


人員削減や税制上の特例措置
3島会社を見ると、北海道の従業員数は発足時12,720人から7,469人へと41%以上の削減、四国は4,455人から2,794人へと38%以上の削減、九州は14,589人から 8,650人へと40%以上の削減、大幅な人員削減と経営安定基金の運用益頼みの経営となっています。
また、JR発足以来、税制上の負担軽減、無利子融資継続などの特例措置を受けて経営しています。


3.貨物会社はの輸送量は、コンテナで前年比91.8%、車扱98.1%、計93.9%、運輸収入も約87億円の減と景気低迷の影響を直接うけています。
 しかも営業収益1,370億円のうち12.5%の171億円を線路使用料として旅客会社などに支払っています。賃金労働条件は本州3社などとは比べると1ケ月基本給は約5万円低く、期末手当を含め約100万円の格差となっています。
さらに、東北・九州・新幹線の延伸、北陸新幹線などによる併行在来線のJR旅客による経営継続と貨物輸送路の確保は重要な課題となってきています。モーダルシフト施策の具体化やCO2環境問題、高速道路料金の無料化や上限制の導入などをふくめ整合性ある交通政策を求めることが重要となっています。
また、JR発足以来、3島会社とともに税制上の負担軽減、無利子融資継続などの特例措置を受け、さらに貨物会社は、車両購入についての税軽減措置も受けています。


二、株主には「高配当」を続ける


本州3社は、1990年の株式上場以来(東日本1991年)額面50,000円に対して5,000円(年)の配当をしてきましたが、2009年度には東日本は11,000円の配当となっています。
(参考・2009年1月から、東日本の株式は1株を100株(額面5万円株を500円100株)に分割しましたが、5万円株に換算して記述します)
2009年度の配当金総額は、東日本が437億円、東海が177億円、西日本が136億円、3社の合計750億円です。

儲けと配当

 

当期純利益

当期配当総額

東日本

  1000億円      437億円

東 海

   884億円      177億円

西日本

   205億円      136億円


東日本の株式400万株(現在は4億株)は、金融機関が46.01%、外国法人が30.32%所有していますから、計76%所有です。437億円の配当の内、332億円(年)の配当を金融機関や外国法人などが労せずして分けどりしているのです。 例えば、大株主の「日本トラスティ信託銀行」(元大和・住友・三井銀行が出資)は約26.4万株(6.6%)所有していますから、約29億円の配当、「日本トラスティ信託銀行4G」は約22.8万株(5.7%)所有していますから、約25億円の配当を手にしているのです。
単純に見ることは出来ませんが、東日本の純利益1000億円の半分近くの437億円が配当として株主に渡されており、この額は、3島会社の経営安定基金運用益の計が432億円ですから、いかに大きい額かは明らかです。これが株主重視の実態なのです。

儲けの蓄積
本州3社は、発足以来、高い運賃制度の維持と事業拡大により利益をあげて、儲けを蓄積してきています。23年前の剰余金と今期利益剰余金とその内の積立金額の比較を見ますといかに儲けているかが明らかです。長期債務を返済し、高額な配当をした上での蓄積です。

 

 1988.3期

  2010.3期  

 

 

利益剰余金

利益剰余金

 (内・剰余金積立金額)

東日本

  274億円  12,886億円     9,771億円

東 海

  165億円  10,850億円     9,213億円

西日本

     20億円   4,420億円      3,706億円



三、経営格差は広がる一方

以上の点から見て、JR本州3社はあくなき利潤追求の経営、3島会社は経営安定基金に依存した経営になっているのです。また、貨物会社は、借金を積み重ねての経営となっており、深刻な状況といってよいでしょう。
分割・民営化から今年で24年目。公共輸送機関として日本列島を貫いているJRと、他輸送機関との役割分担、エネルギー消費・環境問題など 、鉄道輸送の果たすべき社会的役割は引き続き重要になっていると思います。取り急ぎ決算報告を読んでの雑感とします。
 

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