自分を守るために組合に入った
だから君も一緒に組合をやろう

学習の友・3月号 特集「職場は変えられる」


 
 「“自分を守るためにボクは組合に入ったんだ。だから、一緒に組合をやろう”と、いつも周りに呼びかけています」と話すのは、峰岸信一さん。
 JR関連の職場で、一昨年の分会結成以来、要求の解決と組合員拡大の両面で前進をつづけている建交労の労働組合があります。主に駅などの清掃業務を請け負っている、東日本環境アクゼス分会です。

●きつい仕事と無法な職場で…

 仕事は典型的な3Kの職場です。新宿駅を中心としたエリアを受け持ち、一日中出されるゴミを集積所に運び分別します。食べ残しの弁当の分別などで、とくに暑い時期には体に臭いが染みつきますトイレ掃除にゴム手袋が支給されても、素手で掃除することもあったといいます。食事休憩を、ゴミ集積所の片隅でとることもあります。駅(JR)からは、ホーム上の酔客の汚物の処理や、信じられないかもしれませんが、排便の処理を依頼されることもあるといいます。利用客からチリトリがぶつかったと苦情をうければもちろん駅から注意を受けます。いくつかの駅をめぐりながらの作業では、ゴミが多くて分別に時間がかかり、作業が終わったときには終電に乗り遅れ、休憩所のある隣駅まで歩いて帰ることもあったそうです。
 きつい仕事の上に、労働条件はひど.い。巨大な新宿駅では、清掃用具の保管場所や休憩所は各ホームから遠く、早出出勤したり休憩を削らないとやっていけません。休憩所のベッドはシーツ交換もロクにされておらずノミだらけで、夜勤者はイスで仮眠をとっていました。

●労働組合との出会い

 賃金も低く不安定な上に、不公正がまかりとおっています。契約社員・パート社員の契約期間は仕事への意欲や態度により絶えず変えられ、会社に反抗的な労働者を許しません。数年間もパートのままの労働者がいる一方、所長の知人は数ヶ月で正社員になります。所長ににらまれて仕事場を変えさせられ「七万円も収入が減った」という人もいます。
加えて、利益を上げるために、仕事量は増やされ、人員は減らされています。その結果、一〇人就職しても次の日には八人がやめるような状況も生まれました。このような状況の下で、「私たちはドレイのように働かされている」という声すら出される状況になっていたのです。
 このような職場状況のなかで、全動労(現・建交労)組合員でアクセス職場へ出向した組合員が、働きやすい職場にしようと、働いている人たちの相談相手となって要求の解決を上司に求め、職場での信頼を築いてきました。
 いまの職場で十年以上働き続け、アクセス分会のなかでも古手の組合員である伊東雅史さんは、その当時に組合と出会いました。仕事を始めたばかりで慣れない中、「悩みはないか」と声をかけられ、仕事や生活の相談にのってもらったといいます。そして、「明るく、働き続けられる職場をつくりたい」と組合に加入。労働組合や労働者の権利などを学びながら、仲聞に組合への加入を呼びかけていきました。

●四人の労働者が 雇い止め在を回させて

 そんななか、四人の労働者が雇止めされる事件が起きたのです。二〇〇三年一〇月、「六五歳以上の者は契約更新しない」という理由で、四人の労働者が雇い止めされたのでした。六七歳で雇われて働いてきた人もおり、正当な理由はありませんでした。
 相談を受けた組合は、「年齢を理由に雇い止めするとはおかしい」と会社側に交渉を求め、三か月にわたる交渉のすえ、雇い止めを撤回させました。
 この事件の解決は職場に少なくない影響を与えました。
 「雇い止めを撤回させたたたかいをみて、"自分を守るために組合に入ろう"と思った」と、峰岸さんは当時をふり返って言います。"バックに組合がいれば、会社も好き勝手なことはできないんだ"ということに多くの従業員が気づき、労働組合に対する信頼が高まってきました。
 組合(新宿分会)が企画するボーリング大会などの交流会に、'アクセス会社のパート・契約社員が参加するようになり、組合員も増えていきました。また、労働者、労働組合の基本について学んでいきました。
 組合員が増え、また労働組合や労働者の権利について学ぶなかで、きつい仕事であるにもかかわらず、あまりにも低い労働条件をよくできないか、という要求が高まってきました。実際に、よりマシな労働条件の仕事をみつけて辞めていく人が少なくないのが実情です。

●アクセス分会結成し 要求を次々と実現

 「長く働き続けられるまともな職場をつくりたい」、「会社に対して労働条件をよくするよう要求していこう」と二〇〇七年七月アクセス分会を結成します。そして、会社に労働条件改善等の申し入れを行い、交渉をはじめました。そして、その年の一二月に、アクセス分会は会社側と基本協約を結びます。
 いままで会社が勝手にシフトに組み込んでいた有給休暇の指定を本人の望まない日には行なわないこと、業務の都合で休憩時問に作業が食い込んだ場合には超過勤務手当を支払うこと、などの要求を勝ち取りました。また、新宿駅のチリ場(ゴミ集積所)の要員として日勤者を1名配置させました。新宿駅以外でも休憩室のベッドのシーツの毎日取り替えなど、改善を勝ち取っています。
 また、その後契約社員の賃金を、日給月給から月給制にさせました。
 アクセス分会の公然化に対して会社は、いままで正社員のみであった組合を使って、建交労アクセス分会の切り崩しをはじめました。しかし、建交労組合員による反撃で、アクセス分会には毎月のように新しい組合員が生まれています。

●仲間を増やし勧き、続けられる職揚に

 要求が前進する中で、労働組合に対する確信がひろがり、組合加入が続いています。女性パート社員のAさんは、「たとえ一分でも作業時間をこえればお金を払うのは当然。それを無しにするのほおかしい」「組合の主張は私の思いと同じ」と加入。男性準社員のBさんは「一人で声をあげても何回.言っても解決せず頭に来る。だから組合に入った」と言います。
 一人ひとりの悩みによりそった親身の活動、労働組合に団結すれば要求は解決てきるということへの確信を伝えることで、加入が広がっています。現在、春闘要求アンケートを使いながら、職場の労働者と対話をすすめています。
 建交労鉄道東京地本の副委員長で、アクセス分会の活動を支えてきた伊東哲男さんは、「仲間を増やし、労働組合に団結して交渉を行うことで要求が前進し、てきました。とはいえ、まだまだ劣悪な労働条件です。これを1歩ずつ改善ン、長く働き続けられる職場にしていきたいと思っています」と言います。
 峰岸さんは、「大多数の人たちは組合に入っておらず、そのなかで不当なあつかいやいじめにあっている人たち、は少なくありません。アンテナを立て、て、仲闘を増やして、そういう人たちをなくしたい」。
 伊東雅史ざんは、「仕事の休憩のときなども、“もっと職場をよくしてもらいたい”と言ってくる非組合員がいたり、まわりの労働者の組合への反響は大きいです。交流、宣伝なども強め、細合員を三ケダにして、さらに要求を前進させたい」。と、それぞれの決意を語っていました。

 

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