東日本大震災と原発事故による被災・鉄道輸送の復旧を早急に
JR7社の決算報告を見て
 (2011年3月31日)
全国鉄道本部特別執行委員 三浦隆雄


   
国鉄「分割・民営化」からJR発足して4半世紀になろうとしています。3月11日の東日本大震災と原発事故の発災は、国民生活に未曾有の犠牲と苦しみを与えています。鉄道輸送もJR会社と三陸鉄道などの第3セクター鉄道に大きな被害を受けています。JR7社の2010年度決算はその影響を受けながらも一定の当期利益を確保して おり、その主な特徴点を見てみます。
各数値については、「資料1・各社の特徴点」と「資料2・本州3社と3島会社と貨物会社に区分した対前年度比決算」を参照してください。


一、JR東日本前年度比、震災影響440億円減

.本州 3社は、被災にもかかわらず約2,109億円の当期利益をあげています。
JR東日本は、前年比で在来線収入235億円の減、新幹線収入79億円の減となり、当期利益406億円の減。 
JR東海は、大震災の影響を受けながらも、物件費の減、減価償却費の減などにより、増収・増益(営業利益、経常利益、当期利益)。前年比で在来線収入4億円の減、新幹線収入259億円の増となり、当期利益は346億円の増となってい ます。 
JR西日本は、九州新幹線の直通運転開始や奈良等観光キャンペーンがあったものの大震災の影響も受けながら、前年比で在来線収入34億円の減、新幹線収入114億円の増となり、当期利益79億円の増益となっています。

運輸収入前年度比

 

在来線

 新幹線

 計

東日本

 -235億円  - 79億円    -315億円

東 海

  -4億円  +259億円    +254億円

西日本

  -34億円  +144億円      +79億円

 
. 3島会社の決算報告は、連結決算の資料を中心に発表されてきており、単体の状況が不透明になってきています。営業収益は3社計で前年比約40億円増、営業利益は3社計約380億円の赤字となっています。JR九州だけは、経営安定基金運用益投入後の経常利益で46億円を計上しています。
JR北海道とJR四国については、発足時の経営安定基金の運用益では経営が成り立たずに、基金の積み増しの法案が今国会で提出され成立しています。

3島会社の決算

 

当期営業利益

 経営安定基金
運用益

 経常利益

 北海道      -259億円      240億円   -4億円
 四 国     -90億円       74億円   -15億円
 九 州       -31億円      111億円   46億円

     -380億円       425億円   27億円 

 

.JR貨物はの輸送量は、コンテナで前年比+0.6%、車扱-1.8%、計-0.2%、運輸収入も約10億円の減となっています。その他の不動産賃貸収入+20億円、不動産販売収入+11億円などにより、営業収益は+14億円となっています。
 JR貨物は、景気の動向や自然災害の影響をうけやすいとともに線路使用料(154億円/2010年度)支払いや整備新幹線建設に伴う並行在来線の経営分離に伴う負担増など構造的矛盾をかかえたままとなっています。
 

二、「分割・民営化」24年、その矛盾は深まり長期化している
 

「分割・民営化」から24年が経過し、JR7社の「株式上場」は本州三社のほかは全然見通しがたたず、JR九州などは平成30年度を当面の目標としています。しかし、経営安定基金がなければ経営がなりたたず、その他にも数々の税の軽減や支援策が続けられている現状は、「分割・民営化」の目的が破綻していることを示しています。
政府は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の「国鉄清算事業に係る業務である特例業務勘定」 の利益剰余金、平成21年度末で1兆4500億円があり、そのうち1兆2000億円を国庫納付等とする 「公債発行の特例等に関する法律案」を国会に提出して審議されています。
  あわせて、国鉄清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部改正案も提出されており、 その中の「支援策」は次の通りです。


●鉄道建設・運輸施設整備支援機構の「利益剰余金」等を活用した所要の措置

・経営安定基金の積み増し
 JR北海道 2,200億円、JR四国 1,400億円
・設備投資に対する支援
 JR北海道 600億円(助成金1/2、無利子貸付1/2)
 JR四国  400億円(助成金1/2、無利子貸付1/2)
 JR九州  500億円(無利子貸付)
 JR貨物  700億円(無利子貸付)
    190億円(青函トンネル用機関車等で、助成金1/2、無利子貸付1/2)
・整備新幹線の着実な整備 1500億円
・並行在来線の支援(貨物調整金)(1000億円)(平成23年度〜32年度)
    JR貨物が第3セクター等に支払う線路使用料

 

 

三、東日本大震災の鉄道復旧を急げ
 

3月11日の地震と大津波は東日本地域のみならず日本列島全体に大きな影響をもたらし、原発事故はさらにそれを長期化させるものとなってい ます。鉄道輸送網も大きな被害を受けていますが、沿岸部の線路復旧にJR東日本は「早期復旧」といいなが、一方では、地域復興計画との関係を持ちだして原状回復に積極的に取りかかろうとしてい ません。
JR東日本は、線路設備や電路設備と停車場設備等の損壊した土木構造物の復旧に要する費用 として、710億円の地震保険を契約していると明らかにしてい ます。とりわけ、発足以来、約1兆2000億円もの内部留保を貯め込んでおり、それらを活用して直ちに復旧にあたるべきです。
東日本地域の旅客鉄道の被災区間は次の通りで す。(7月14日現在)

●旅客鉄道線区 震災・不通区間

 八戸線     64.9q
 山田線     157.59q
 大船渡線   105.7q
 気仙沼線     72.8q
 石巻線        44.9q
 仙石線        50.2q
 常磐線      348.9q

 三陸鉄道 北リアス線
        南リアス線

階上〜久慈間  37.4q
宮古〜釜石間  55.4q
気仙沼〜盛間  42.3q
柳津〜気仙沼間 55.3q
石巻〜女川間  17.0q
高城町〜石巻間 24.7q
久ノ浜〜亘理間 110.6q

陸中野田〜小本間 34.8q
釜石〜盛間 36.6q

なお、三陸鉄道は、国鉄の地方交通線廃止により第3セクター鉄道であり、年間営業収入が 3.7億円しかなく、180億円ともいわれる被害の復旧費を作り出すことは不可能であり特別な措置が必要です。
地域における鉄道輸送の確保は、その地域を中心とした復旧・復興の核をなすほどの大きなものであり、JRはその社会的使命を果たすよう求め るものです。

以 上

 

Home/Back